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ほぼ日刊フロクロ新聞

フロクロブログ。

北岡孝義『スウェーデンはなぜ強いのか』を読んだ。

北岡孝義『スウェーデンはなぜ強いのか』(PHP新書)を読んだ。

 

「税金が高い」「福祉の国」「男女平等」「ノーベル賞」などのイメージが持たれがちな北欧の国スウェーデン。日本から遠いため馴染みは薄いが、IKEAH&Mなどのスウェーデン企業は日本でも成功している。充実した福祉に対する国民の満足度は高く、また、国民は政府を大いに信頼し、国民の政治意識も非常に高いという。この本ではそんなスウェーデンの「強さ」の根底にあるものを、政治、経済、文化、歴史、自然などの切り口を通して読み解いていく。

序盤の「はしがき」にかなり過不足なくまとまってるので、そこを読めば概略はつかめる。以下「はしがき」をベースに(というかパクって)備忘録的に概要を。

 

福祉を始めとする今日のスウェーデンの諸状況を読み解くには、スウェーデンの戦後の経済成長が鍵となるという。

第2次大戦に参戦していないスウェーデンは戦後ヨーロッパの復興需要の受け皿となり、高度成長を経験した。その経済成長を支える労働力として期待されたのが女性である。政府は女性の就労促進政策をとり、保育園・託児所の設置や育休・育児手当に関する法整備で女性就業率は急上昇した(これらの政策は、当時の政権与党たる社民党の「男女平等」の理念にも合致した)。

しかし、政府の促進による急激な女性就業率の上昇で、父親が外で働き母親が家を守るという「伝統的な家族のあり方」は崩壊し、社会は不安定化、自殺率・離婚率・犯罪率は上昇した。そこでスウェーデン政府は「国民の家」の理念を掲げ、子育ては親ではなく国が責任をもつとして様々な福祉政策に着手した。また「伝統的な家庭」の崩壊は子供の自立を促し、個性の強い大人へと成長する。こうして男女平等、人権・個性の尊重、自立心の強さは、スウェーデンの国民性として定着していく。

「個性の尊重」は企業戦略にも用いられ、商品の多様性と低価格で成功したIKEAH&Mはその好例だ。スウェーデンIKEAでは「フラット・パック」と呼ばれる、家具をパーツごとに販売し客はそれらを選んで組み立てる販売方式があるが、これは価格コストを抑えながら、顧客は個性を発揮できる仕組みになっている。

 

スウェーデンにおける政府と国民の関係は「相互信頼」がベースとなっている。スウェーデンの選挙では、政党はマニフェストを示すだけでなく国民との討論会や対話集会を行い、「相互信頼」を形成する。国民の政治意識も高く、4年に1度の国政選挙の投票率は常に80%を超える。また、スウェーデン発祥のオンブズマン制度は政治的中率を保ちながら国営で行われ、政治の透明性・情報公開は世界一と言える。国会議員の国費を使った活動には1クローナ(約12円)といえども領収書の提出が求められることは、スウェーデンの情報公開の徹底ぶりを象徴している。

 

著者は最後に、日本が福祉大国スウェーデンから学ぶべきは、その個々の具体的な福祉政策ではなく、福祉政策をうまく機能させているスウェーデンの制度や政治に対する信頼である、と結んでいる。