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福井健策『著作権とは何か』を読んだ。

徹夜で麻雀やっていて気がついたら朝になっていたので、昨日のブログは書けなかった。むねん。今日は2つ書く。まだ始めたばかりでペースが掴めていないのだ。

 

最近、著作権絡みで周りの人と話すことがままある。具体的なテーマは「二次創作とその無断転載は根本的には同じなのではないか?(二次創作も原作の盗用という点では同じなのではないか?)」や「テレビの画面をスクショしてツイートするのは著作権侵害じゃないのか?」など。しかし、前提知識、著作権法に関する知識が無いと話が進まない。

 

そこで、福井健策『著作権とは何か』(集英社新書)を読んだ。著作権法に関する基礎的な知識から始まり、様々な判例を通して著作権のアウトラインが掴める一冊。

 

著者は著作権法の存在意義について、「自分の創作物について勝手に真似されたり利用されないのは当然だから著作権があるのだ」という「自然権論」の考え方の他に、こんなことを言っている。

 

" ところが、もうひとつ見逃せない存在理由が著作権にはあるのですね。その目的は、著作権法自体の冒頭、第一条に記載されています。

 

この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。(著作権法第一条)

 

「文化の発展に寄与すること」が目的だと謳っています。つまり、著作権法とは文化振興法なのです。人々がよい作品を作りやすい環境を整える、われわらの社会で芸術文化がいきいきと息づくための土台を作る――そのために著作権法は存在しているのです。"(P112〜113)

 

著作権法は比較的若い法律で、「法律としては欠陥品とさえいいたくなるほど」ときに曖昧模糊としている。だからこそ、「著作権法によって何を達成したいのか」という視点が欠かせないという。

 

面白かった部分をいくつか紹介する。

 

"では、いったいどういう手続きをとれば、著作権は守られるようになるのでしょうか。答は、「何もいらない」です。なんの手続きも必要なく、ただ作品を創造すれば、その瞬間から著作権はほぼ全世界で保護されるようになります。"(P64)

 

ベルヌ条約という著作権保護の国際的な条約に日本やアメリカなどは加盟しており、世界のほとんどの国では著作権表示(©xxxxみたいなの)がなくても創造した瞬間に著作権は保護されるルールになっている。

 

 

 "ドラクエやFFは著作物ですから、これらは莫大な収入源になりますが、その根底にあるロール・プレイングという基本アイディアを思いついた人がいたとしても、それだけでは一円の印税も入ってきません。なぜなら、アイディアは原則として誰でも自由に使えるからです。アイディアは著作物ではないから、それを思いつた人が独占することはできません。"(P35)

 

「アイディアは著作権で保護されない」という原則。スマホゲーでパ○ドラやモ○ストの類似品がたくさん出ているが、(おそらく)ゲームのシステムは「アイディア」なので著作権は適用できない、ということなのだろう。著作権法の目的はの「文化振興」であるから、具体的な表現はダメでも、アイディアはどんどん参考にして再生産しよう、というわけだ。

 

2次創作についても面白い記述がある。

"この場合、借りられている「名前」「性格」「基本設定」というものは、一般的には、どれも著作物ではないといわれています。実際、日本の裁判所は「キャラクターというもの自体は著作物ではない」という判断を示したこともあります。そこで、研究者のなかには「だから他人の小説のキャラクターだけを借りてきて、別なストーリーの小説を書くのは著作権侵害ではない。著作物を使ってないのだから」という有力な意見があります。"(P48)

なんと、キャラクターの名前や設定はパクっても法では裁けないのだ!ただし、これはビジュアルイメージの無いキャラクターの話であって、漫画のキャラクターのイメージが絡むと話しは別であるのに注意。

 

本書は、具体的な判例と、その裁判の経過の例がとても面白い。法律は、イメージとは裏腹に意外と人間的だ、ということも感じた。