ほぼ不定期フロクロ新聞

フロクロブログ。

花粉症の腹いせにスギの悪事を徹底的に暴くブログ

こんちには。フロクロです。

 

もう4月も半ばですが、未だにアレに苦しめられています。

そう。

 

スギ花粉症。

 

ポカポカ陽気になったかと思ったら途端に鼻水が止まらなくなり、目が真っ赤になり、夜はうなされ、膝関節を痛め、財布を落とす。もう散々である。
そもそも私は物心ついたときから花粉症であり、春になるとティッシュと共に幼稚園に登校していた。花粉症の無い人生はもう思い返すことも出来ないのだ。

 

 

 

許せない。私にはスギが許せない。

 

 

 

というか、そもそもなぜスギばかりなのか。

 

私の住む千葉は春になると至るところに菜の花が生えてくるが、「菜の花花粉症」など聞いたことがない。菜の花も花粉出すのに。
富良野の人はラベンダー花粉症になってもおかしくないし、オランダの人はみんなチューリップ花粉症でも変じゃない。が、そんなことはない。

 

ということは、何らかの理由でスギが人間に、他の植物とは違ったような嫌がらせをしているに違いない。

 

 

今日はスギがいかに攻撃的で極悪な植物であるかを白日の下に晒していきたいと思う。見てろ!

 

 

【この記事のアウトライン】

①数に物言わす生殖戦略【風媒花】

②植えられ見捨てられたスギたち【植林事業の遺産】

③スギが変わったのではない、人間が変わったのだ。【排気ガス寄生虫

 

 

①数に物言わす生殖戦略【風媒花】

 

まず、そもそも菜の花やチューリップはなぜ色鮮やかな花つけているのか。
それは、虫に花粉を運ぶのを手伝ってもらうため、彼らにアピールしているからだ。キレイな花をつけたり、いい匂いがしたり、蜜を出したりする植物の多くがこの方法で受粉を行っており、これらは「虫媒花」と呼ばれる。虫に蜜や花粉を与える代わりに受粉を手伝ってもらうWin-Winの関係を築いている、というワケだ。

 

一方、スギやヒノキ、イチョウ、マツなどはご存知の通りキレイな花もつけず蜜も出さない。では彼らはどのように花粉を運んでいるのか。
それは、

 

風。

 

ひたすら風に花粉を乗せ続けるのが彼らの生存戦略なのである。虫媒花は虫が花から花へ運んでくれるため花粉の量もセーブでるが、スギなどの「風媒花」は風という意思無き存在に花粉を任せるので、確実に受粉するためにとにかく大量の花粉を出さねばならない。なんとも非効率的!!!
さらに花粉も遠くまで飛びやすい構造になっているため、近所に杉林がなくとも花粉ははるばる飛んでくる始末。最悪や

 

この原始的で工夫の無いシステムが我々を苦しめているのである。いやぁ、許せん!!

 

 

 

いや、でも、そしたらイチョウやマツの花粉症をあまり聞かないのはなぜだ??彼らもキレイな花をつけない風媒花である。ならば花粉症の原因になってもおかしくはない。そうだろ?

 

 

これは多分、スギやヒノキの性格がことさらに悪いに違いない。

 

 

 

②植えられ見捨てられたスギたち【植林事業の遺産】

 

イチョウやマツの花粉症が無くてスギやヒノキの花粉症が多い理由は、至極単純、ずばりスギやヒノキの本数が多いから。じゃあなぜ多いのか。

 

戦後日本は、国土復興のため木材として利用しやすいスギやヒノキの植林を大規模に進めた。この戦後の拡大造林により国土の4分の1(!)が人工林になり、そのうち4割(!)が杉林になったというから驚きだ。
しかし、その後安価な外国産木材の流入により国内の林業はみるみる衰退。起伏の多い日本の林は機械化も難しく、林道の整備の遅れや高齢化も相まってせっかく植えた人工の杉林は切られないまま放置され現在に至っている……。
結果、その無責任に放置された杉林が毎年花粉を出し続け、人間共を苦しめているのだ。

 

 

 

ってアレ、これは人間が悪いやん…………

 

 

いやいや、でも杉林は植林の前からいくらでもある。なにせスギは日本の固有種なのだ。なのに、スギ花粉症が取り沙汰されたのは最近になってからで、花粉症患者第一号が報告されたのは1963年である。
なぜ、それまでもスギはあったのにスギ花粉症は存在しなかった、あるいは目立たなかったのだろうか

 

 

 

スギが突然人間に反旗を翻し、攻撃的になったんじゃないの??

 

 

 

③スギが変わったのではない、人間が変わったのだ。【排気ガス寄生虫

 

スギが多く生えているのは山奥など農村部、にもかかわらず、スギ花粉症の発症率が多いのはスギ林から距離のある都市部だ。全国的に見ても、スギの密度が高い紀伊半島・四国・九州よりも首都圏のほうが花粉症発症率が高い

 

この奇妙な現象はなぜ起きるのか。

 

その原因は「大気汚染」にある、という調査結果がある。ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子が花粉と結合することで花粉症の症状が助長されるというのだ。
実際、花粉症が初めて発見された栃木県の日光には500年前から杉林が存在し、春先には東照宮の廊下が花粉で黄色くなる(おそろしい)ほどであった。にもかかわらず、1960年より前から花粉症になっていた人はごく僅かで、ほとんどがそれ以後に発症している。この1960年代というのはディーゼル車の増加が始まった頃である。

実験結果もこれを示していて、マウスに花粉を注射しても花粉症を引き起こすIgE抗体は産出されなかったが、ディーゼル排ガスの粒子と一緒に注射するとIgEの産出量が明らかに高くなったというのだ。(マウスも気の毒である。)

 

 

更に、スギ花粉症の原因に衛生環境の変化も関係している。

 

戦後間もないころの日本では、多くの人が体内に寄生虫(特に回虫)を飼っていた。しかし戦後衛生環境の改。善や堆肥から農薬への転換などによって、それらの寄生虫は人間の体内にはほとんど居なくなり、なんとそれが花粉症を引き起こしたと言うのだ。このメカニズムはここで説明するにはやや複雑なので、最後に示す藤田紘一郎先生の『笑うカイチュウ』を参照頂きたい。

ざっくり言うと、現代人は花粉を吸い込むと"花粉に反応してアレルギーを起こす(花粉に特異的な)IgE抗体"を作り出すのだが、回虫が体内にいると花粉に反応しない(アレルギー反応を示さない)IgE抗体が産出され、逆に花粉を吸い込んでも花粉に特異的なIgE抗体は産出されなくなる、という仕組み。ややこいね。

 


ということで、結局のところ「花粉症」という現代病を引き起こした根本的な原因は、戦後の大規模な植林無責任な放置、そして経済成長に伴う人間の生活環境の急速な変化なのである!!!!!

 

 

 

…………

 

 

 

………これスギあんま悪くないじゃん………悪いの人間じゃん。

 

 

 


…………ごめんな。


ヘクチッ

 

 

【参考文献】


有岡 利幸 『杉〈1〉 (ものと人間の文化史) 』

杉の全てが分かる本。全2巻で、11章のうちの最後の章が花粉症に割り当てられている。

杉〈1〉 (ものと人間の文化史)

杉〈1〉 (ものと人間の文化史)

 

 

 

 

白井裕子『森林の崩壊』

日本の林業の負の歴史が詳細に書いてある本。②で参考。

森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書)

森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書)

 

 

 藤田紘一郎『笑うカイチュウ』

名著。寄生虫という今となっては馴染みの薄い生き物に関する驚きと新鮮に溢れた一冊。寄生虫を飼っていると花粉症にならない……!!

笑うカイチュウ (講談社文庫)

笑うカイチュウ (講談社文庫)