ほぼ不定期フロクロ新聞

フロクロブログ。

映画『プロメア』の驚異的に精緻な設定とモチーフを読み解く

 

映画『プロメア』を見た。とにかく熱いストーリー、目を見張る映像技術、鳥肌の止まらない演出、愛着がわくキャラクターたち、どこを取っても最高な映画。みんな観よう。
 
特に感動が止まらないのは、巨大なジグゾーパズルが組み上がるようにキレイに繋がっていく緻密な設定群。
 
というわけで、以下では設定とモチーフに焦点を当てて、具体的に『プロメア』のどのへんがスゴいのかを分析/考察する。
 
もちろんネタバレ満載なので『プロメア』まだ観てない人は絶対に読まないように。
 
 
 
 
 
 
 

■モチーフと設定

▼3つの図形

『プロメア』のオープニング映像では、まず三角形が四角形に押し込められる映像が流れ、その後丸のイメージが登場する。『プロメア』で最も重要なモチーフはまさにこれら3つの図形、即ち「三角形」「四角形」、そして「丸」なのだ。それぞれ詳しく見ていこう。
 
まず三角形と四角形は
 
  • 三角形……プロメア・バーニッシュの象徴
  • 四角形……火消し・体制の象徴
 
という役割を持っている。これは気づいた人も多いのではないだろうか。
 
三角形が用いられた主な箇所は、プロメアの火の粉、バーニッシュの死灰、プロメティックエンジン(後述)、リオを射出する砲台、マグマ(三角形のポリゴンで構成)、リオが氷の池に落ちた際の蒸気、プロメティックエンジンで開いたワープホールなど。これらは全てバーニッシュ・プロメアに関係するものだ。
三角形は鋭角でトゲトゲしいイメージであり(冒頭のストレス/抑圧との連関)、また作中で度々登場する"火山"の記号でもある。『プロメア』のロゴのMも、大きい三角形から小さい2つの三角形を切り出すことで構成されている。(我々の住む世界で)建造物の窓に描かれる赤い三角形は「消防進入口」を表し、人を殺さず逃げ道を用意する「バーニッシュの誇り」にも通じている。(赤い三角形はレスキューのメカにもデザインされている)
 
四角形が用いられた箇所は、クレイが作った街の建造物(とその屋上)、氷(四角形のポリゴンで構成)、フォーサイト社の紋章、火消しのメカニックデザイン、クレイの研究所(とそのエレベーター)など。火消しや体制側に使われる。
四角形は、理性的で整然と敷き詰めることができる「四角四面」のイメージ。規律や世間体を重んじるクレイのキャラクターを表現している。(cf.リオ「僕らよりも先にその凝り固まった頭を冷やせ!」)
 
これにより、オープニングの「四角形が三角形を押し込め、歪める映像」の意図がわかる。あれは、体制によるバーニッシュの抑圧を意味しているのだ。
 
そして作中には、三角形と四角形が共存する箇所も登場する。これは主にバーニッシュ/プロメア側と体制側の交錯(特にクレイ)を意味している。具体的には、プロメポリスの建造物の角が削られて青い三角形が現れていたり、クレイの紋章は三角形が組み合わさった四角形となっていたりする。(ちなみに、作中で用いられるアルファベットのフォントは四角形から三角形/四角形を切り取ったデザインで統一されている。)
 
次に、もうひとつの重要なモチーフ「丸」について。丸は以下の役割を担っている
 
  • 丸……共存、物語の決着
 
つまり「丸」は物語が"丸く"収まっていくさまの象徴として用いられているのだ。
 
丸が初めて印象的に使われるのはデウス博士の研究室。蒸発した池の形が丸で、研究室も球の形をしている(ガラス張りは三角形の敷き詰め)。移動用のエレベーターも球形で、内部のライトも丸く、研究所の画面も全て丸い(途中に露骨に水玉コラを意識した演出があるが、これも比較的地味な「丸」というモチーフを強烈に印象づけるための装置になっている)。彼の作ったメカ(デウスエクスマキナ)も丸っこく、リオが乗るポットも球形……今までほとんど登場しなかった「丸」というモチーフが、突然至るところに出現する
 
序盤のニュースでバーニッシュの隔離政策と、それに反対するデウス博士が登場し、博士が対立の解消を望んでいることがわかるが、ガロたちが研究室を訪れるシーンを境に「共存」に向かって物語が終結していく。博士の作った「デウスエクスマキナ」はその名の通り、(クレイが葛藤したような)極めて解決の困難な局面を丸く収めてしまう装置として活躍する。
 
そして「三角」と「四角」と「丸」が一箇所に集まるとき、物語は収束に向かっていくのだ。 これらの図形がひとつに合わさったものといえば、物語の終結に重要な装置であるプロメティックエンジンだろう。回転部分は丸、フレームは三角、ボディは四角で構成されそれらが積み上がっている。ただ、それだけでは足りない。初期状態では、セントラルポッド三角形で構成された正八面体(横から四角形に見るカットがある)で、丸が不在なのだ。しかし、そこにコアとしてデウスエクスマキナの球形ポットが加わることで3図形が揃い、初めて解決策が見出されていく。リオとプロメアが意思疎通し、「燃やし尽くす」という手段をとるのだ。
 
そういえば途中、平穏な生活を望むバーニッシュとしてピザ屋の青年が登場するが、彼がピザ屋なのも偶然ではない。「ピザ」というのは三角形のピースが円を構成している。つまり「バーニッシュ(=三角)」も「平穏な共存(=丸)」が可能である、ということを暗示しているわけである(彼のTシャツには円形の状態から一枚だけ切り取られたピザの絵が描かれている)。
 
さて、序盤から太陽のレンズフレアが「四角形」で描かれているのを印象的に感じた人も多いと思われる。なぜ太陽の反射が四角形で描かれているのか。それにも理由がある。
クライマックス、一惑星完全燃焼でガロデリオンの炎が「丸」を象徴する太陽に届くが、その際に太陽の表面に描かれる模様は「三角形」となっている。そう、ここでも太陽を中心に「丸」「三角」そしてレンズフレアの「四角」を揃えることで、物語の決着が表現されているのだ。 その証拠に、一惑星完全燃焼の後のラストシーンのレンズフレアは四角ではなく「丸」で描かれている(ラストカットの拳を合わせるシーンにも丸いレンズフレアが登場)。こうして、物語は大団"円"を迎える。
 

命名関連

名前については曖昧な部分が多く憶測が大半を占めるので、以下はホントに雑考。
 
「プロメア」「プロメティックエンジン」「デウス・プロメス」などの命名は全てギリシャ神話の火の神「プロメテウス」による。
 
ガロは作中で「燃える火消し魂」という印象的な撞着語法(矛盾表現)を度々用いる。それを意識してか、『プロメア』の火消しサイドのキャラクターの名前は、火消しにもかかわらず火にまつわるものが多くなっている。隊長の「イグニス」ラテン語「炎」「ヴァルカン」はおそらく「ヨーロッパの火薬庫」からの連想。ルキアラテン語「光」「ガロ」「火炉」からのもじりだろうか。ちなみに「ガロ・ティモス」の「ティモス」ギリシャ語で「魂」
 
次にバーニッシュサイドの命名を考えたい。
バーニッシュサイドは、消防サイドと対照的に火消しに関係する単語が名前に入っている。ときに、焚き火を消すときにその方法は2通りあって、ひとつは「水」をかけて温度を下げて冷却するもの、もうひとつは「土」をかぶせて火を閉じ込めて消す方法だ。「リオ」スペイン語「川」だが、激昂ののち水に落ちて頭を冷やし、ガロとともに火消しに臨む態度に対応する(「フォーティア」ラテン語「勇気」)。一方で「クレイ」は英語で「粘土」(ただしスペル違い)だが、衝動を自分の内側に押し込めることでプロメアを抑え込む方法が土による消火に対応している。クレイが突然「滅殺開墾ビーム」土による「火消し」を図ったこともこれで説明がつく。リオの「炎から灰へ、灰から土へ」というセリフも、火と土の対立を示唆する。
 
 追記:人名の由来研究についてはいいまとめがありました。

▼その他モチーフに関する端書き

 

●アメコミ

ビビットな色使い、炎に用いられる色収差、キャラ紹介画面でのポップアート風のハーフトーン、クレイの回想シーンの絵のタッチ、マッドバーニッシュの変身に見られるヴィラン風のデザインなどは全てアメコミの文脈からの借用となっている。

●火消し
江戸の火消し隊、歌舞伎の見栄のような和風モチーフがてんこ盛り。ガロの「メ」のバンドは江戸時代の消防団「め組」がモチーフであると明かされている。ラストの「燃やしきって消す」という解決法は江戸の火消しの手法そのままである。
 
※タトゥーだと思っていた「メ」はバンドとの指摘を頂いたので修正致しました。失礼しました……!
 
●今石×中島の過去作からのモチーフの借用
・無茶で破天荒で命名したがりですぐに見えを切る熱血漢……というガロキャラク
ーは『天元突破グレンラガン』のカミナに通じ、それを諌めるアイナのポジションもヨーコを彷彿とさせる。そしてコアを破るドリルはまさにシモンではないか!
・隙間の少ない書体を画面いっぱいに使い「テロップごと中継」「字幕を吹き飛ばす」などの遊びのある文字演出が頻出する様子は『キルラキル』を思い出す。「人類を守るために多少の犠牲を払ってでも信条を押し通すが、表面では規律を厳格に守る」というクレイのキャラクターは鬼龍院皐月に近い(白い服装も)。
 

▼キャラクターデザイン

TRIGGER作品に出てくるアシンメトリーなデザインのキャラクターは、規則を守らず、旧来の凝り固まった価値観を打破する存在として描かれている。グレンラガンのカミナ、キルラキルの纏流子、そしてプロメアのガロ。
 
マスコットキャラクターとして小動物(ヴィニー)が出てくるのもTRIGGERではおなじみの演出(グレンラガンのブータ、キルラキルのガッツ、パンストのチャック)。
 
 
ついでだから脚本と映像についてもちょっと語らせてくれや。
 

■ついでに脚本について

▼絶対的正義の不在

『プロメア』ではまず「正義vs悪」というシンプルな二項対立を破壊するところから物語が始まる。はじめに「いかにも悪そうな」デザインであるマッドバーニッシュが登場し、そこに「いかにも正義そうな」レスキュー隊が駆けつけ、対峙する。しかしマッドバーニッシュの中から出てくるのは「自分の正義を持ってそうな」リオで、逆にレスキュー隊の上層部からは「いかにも悪そうな」ヴァルカンが登場。序盤で正義と悪の構図が入り乱れ、この作品が単純でないことを示唆する。
 
『プロメア』の大きな特徴は、「視聴者が共感できる正義」が登場しない点だ。体制(クレイ)サイドは「バーニッシュを踏み台にし、大半の人間を犠牲にすることで人類を存続させる」、バーニッシュ/プロメアサイドは「人は殺さず、しかし抗いがたい内なる叫びに従って街を燃やす」という思想。どちらも正義/悪と一刀両断できない複雑さを持っていて、そこをどう調停していくかが見どころになっている。(このシンプルな二項対立と絶対的正義の崩壊というテーマは『デビルマン』『寄生獣』『進撃の巨人』『東京喰種』と様々な作品で見られるテーマ。)
 

▼抑圧と「個」を取り戻す物語

『プロメア』では「名前を呼ぶ」という行為が象徴的に使われる。作中でマイノリティであるバーニッシュは、「バーニッシュ」であるというだけでひとくくりにされ、個性を捨象されている(「バーニッシュの焼いたピザなんて食えるかよ!」)。それに対するアンチがリオで、リオは必ず相手を名前で呼び、自分を名前で呼ぶことに執着する(「リオ・フォーティアだ。一度聞いたら覚えろ、ガロ・ティモス」)。一方でクレイは相手を名前で呼ぶことは少なく、ガロを名前で呼ぶのは(表彰を除くと)おそらく一回(激昂する場面)、リオを名前で呼ぶのもおそらく一回のみ。ガロはどうかというと、前半は「マッドバーニッシュの親玉!」「旦那」「司政官がそんなことするわけがねぇ!」などと相手を名前で呼ばないが、後半には「どういうことだ、クレイ!」「リオが俺を守ってくれた」と名前で呼ぶようになり、内面の変化が演出される。このようにして、バーニッシュは「個」としての、名前を持った自分を取り戻していく。
 
この「マイノリティ差別からの脱却」のサイドストーリーとして、アイナが「アイナ」としての個を取り戻す物語も並行して流れている(「エリスの妹……」→「アイナはアイナだ」)。
 

■すこし映像表現について

▼CGと手描き

精度の高いCGと柔軟な手描きを組み合わせた映像表現は見事。ダイナミックに視点を回転させるカメラの長回しはCGでなければできないし、レスキュー隊がピザを食べるシーンのようなコミカルな表情/動きは手描きでしか出せない。
序盤でガロがヴァルカンに楯突く場面では、CGで描かれた二人を表情の見えないアオリの視点から回し、そこに漫画のようなコマ割りで表情を描くことでダイナミックさとコミカルさを併せて良く表現している。CGとセル画併用でないとできない面白い手法。
 

■その他好きなところ

・レスキュー隊の出動のときのそれぞれのロッカーにめちゃくちゃ個性出てるの好き。
・ルチアがアケコンでメカを操作してるの好き。後半のシーンでは横持ちコントローラーで操作しててそれも好き。
・戦闘中にルチアと画面通話してる最中に衝撃で中継切れる演出好き。
・ガロがクレイに「左手を犠牲にして救ってくれた……」と言ったときにクレイの左手が元の状態になっていることで、クレイが実は「肉体が永遠」なバーニッシュであることを予感させる仕組みになってるの好き。
フォーサイト財団のロゴ(正方形の中にFを2つピッタリはめ込んだデザイン)好き。ちなみにクレイの椅子もFが組み合わさったデザイン。
・みんながインフェルノボルケーノマルゲリータピザ食べてるときの表情好き。
・リオが前面装甲を突破できなと悟り、下に滑り込んで左後ろのタイヤ(or下部の装甲の薄い部分)を狙って攻撃するの好き。
デウス博士の研究所のエレベーターが止まる部分でみんながガクってなるの好き。
・研究所の画面でアイナを水玉コラしちゃうの大好き。
・ルチアがリオデガロンを見て「どういうことなのよーっ!」と嫉妬する様子から、ガロがなんだかんだでみんなから愛されているのが垣間見えて好き。
・プロメディックエンジンが壊れてプロメポリスが落下して、グレイザーXとリオデガロンが宙に浮くシーン好き。
・リオが口づけで炎を送り込むときと違って、ガロが送り込むときはちゃんと気道の確保してからやってるの好き。人工呼吸より先にちゃんと(両手で)心臓マッサージするのも好き。
・アイナかわいい。
・リオもかわいい。
・全部好き。
 
 
 
 
 
 
 
 
・全部好き!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おわり

 

 

 

 

 

謝辞

 見終わったあと餃子の王将に入って語り合った友人たちへ。ありがとう。

Twitterでできない話をやるDiscordサーバー「コーヒーハウス」を作った

こんにちは。フロクロです。

先日、Discordサーバー「コーヒーハウス」を立ち上げました。

(上のツイートの招待リンクは期限切れしてます。有効な招待は最後に貼ります)

 

立ち上げた動機としては、Twitterは個人個人のミニブログのような状態のためひとつのテーマに沿って会話するというのがむずかしい……そこでDiscordという場を使って、緩やかな仕切り(チャンネル)を設けた交流や議論ができたらいいな〜という思いつきで作成しました。理想としては昔の2ch(のいい雰囲気のスレ)です。

 

名前は近世ヨーロッパの社交場であるコーヒーハウスから取りました。

 コーヒーハウス、めっちゃいいですよね。ひとつの理想です。

 

そんなDiscordサーバー「コーヒーハウス」、こんな人は馴染むかもしれません。

  • 制作や創作が好きな方
  • 言葉が好きな方
  • 学ぶのが好きな方
  • 読書が好きな方

このような方はぜひコーヒーハウスにいらしてください。参加は記事の最後の招待リンクから。 

 

具体的なシステムを紹介します。

 

大きなカテゴリとしては

  • ┗ようこそ
  • ┗雑談
  • ┗トピック_情報
  • ┗トピック_変化球
  • ┗トピック_語るスレ

に分かれています。順番に見ていきましょう。

 

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まず入った人は「エントランス」に送られてきます。雑談は「テーブル」で分けられていて、好きなところに話題を持ち込んで話すことができます。話題が2つ出てきたら隣の空きテーブルに移動したりするわけです。「カウンター席」で「こんにちは~」と挨拶すると私(フロクロ)が出てきて対応します。参加してみたけど話に入りづらい、という方はまずここに座ってください。常連がここで盛り上がるのは禁止です(盛り上がったら別の席に移動)。

 

 トピック_情報カテゴリでは集合知や他人のオススメコンテンツを知るのに使う場所です。

 

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色んな人のおすすめコンテンツが知れます。こういう場所自分が欲しかった…… 

 

 トピック_変化球は特定の縛りのもとでしか発言できないスペースです。

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他のスレがどんな内容なのかは入って確かめてください。たぶん面白いです。 

 

 トピック_語るスレは様々なテーマに沿った会話や議論をするスレです。

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同好の士が集まって盛り上がれます。

 

新しいスレは「要望・質問」スレで提案すると立ったり立たなかったりします。人気がないと潰れます。

 

こんな感じの場所です。現状ありがたいことにそこそこ賑わっていて、毎日様々な話題で盛り上がっています(哲学とか)。

 

興味の湧いた方は以下のリンクからご参加ください。ご来店お待ちしております~。

discord.gg


 

「カードに適当な単語を書いて架空のことわざを作りまくるゲーム」をした。

こんにちは。フロクロです。

 

夏ですね。

 

夏休みに突入して暇な人、そんなのお構いなしに忙しい人、色々な夏を過ごしているとは思いますが、まぁ言うても暇ですよね。

 

そんなあなたに、今日は先日開発した2人用ゲームを紹介したいと思います。

 

その名も、「カードに適当な単語を書いて架空のことわざを作りまくるゲーム」(略称:KTTKKKTゲーム)。

 

ルールはシンプル。

  1. ひとりが架空のことわざの「上の句(「急がば」みたいな)」を考えて、カードに書く。
  2. もうひとりは「下の句(「棒に当たる」とか)」を考えて書く。
  3. いっせーのでそれを連結して架空のことわざを爆誕させる。

これだけ。ことわざが爆誕したらそのことわざの意味と例文を考えます。

用意するものは百均の「情報カード」とえんぴつだけです。 

 

暑さで頭がおかしくなりながら考えたこのゲームを実際に知人(M@tsi)と2人で遊んでみたので、その様子をお見せしましょう。

 

続きを読む

「詩」というものがずっと何なのかわからなかった。

私は、ずっと「詩」というものが何なのかわからなかった。が、先日、ある出来事をきっかけに「詩」というものの本質が少しだけわかったような気がしたので、ここにそれをメモしておこうと思う。

 

 


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「詩」とは一体何なのか。

 

小説はストーリーがあるからわかりやすい。
論説は伝えたい意見があるからわかりやすい。

 

では、「詩」は何が目的なのか。

 

大抵の「詩」には明確な起承転結は無いし、何か主義主張があるわけでもなさそうだ。

 

そうなるとどんな切り口でこれを読んでいけばいいのかわからない。


「詩をどう楽しめばいいかわからん。」
これは私の中に昔から居座っていた悩みのひとつだった。

 

しかし、その悩みはある出来事を機に解消されていった。

 

 

 

それはとある友人と中華料理屋に行ったときのこと。


席に座って、メニューを見て料理を注文する。しばらくすると料理が運ばれてくる。そこまでは何もない。
しかし、彼は運ばれてきた料理(刀削麺か何か)を口にするや否や、「いや〜」と切り出し、そしてその料理の味をあらゆる言葉を尽くして自分に伝えてくるのだ(それもめっちゃ幸せそうに)。


彼の口から出る言葉は調味料や食材の名前のような具体的な単語から、その食べ物がもたらした気持ちの変化、果ては自分の過去の食体験談まで幅広く、彼はそれらの言葉を使ってその食体験を自分に伝えようとした。いわば「食レポ」なのだけれど、テレビで見る食レポよりも遥かに高解像度な表現だったし、自分も食べたような気分になった。(今振り返ると、彼の食レポは「詩的」だった。)

 

そこでふと、「味」を伝える、ということについて考えた。

 

料理の「味」というものはレシピによっておおよそ決まっているが、たとえ口頭でレシピを完璧に伝えても「味」という感覚は全く伝わってこない(クックパッドとか見てても、美味しそうか判断するのはレシピの中身より写真や味の感想だ)。
「感覚を引き起こすもの」について詳細に書くよりも、むしろ言葉によって「相手が過去に触れた感覚」を引き出せるような表現を使うことが「感覚の伝達」には必要なのだ、とそこで初めて気が付いたのである。

 

そして、中華料理屋での彼は、言葉を使い、自らが感じた感覚を高い解像度で相手に伝えることに長けていたのだ。

 


この「言葉による感覚の伝達ゲーム」はなかなか面白い!と思い、自分も何かぽっと内側に湧いて出た感覚を頑張って言葉にしてみることにした。

それが5月末にTwitterに投げた下の文章である。

 

 

で、この文章を書き上げてみたら、驚いたことにこれが今まで見てきた「詩」にめっちゃ似ているのである。感覚を文字起こししただけなのに。

そして実際に自分以外からも「詩的」とか「詩人にでもなるの?」とかの感想が飛んできて、ここではっとした。

 

「もしや、詩というのは、『言葉を媒介に、自分の感覚をできる限り高い解像度で伝達するゲーム』なんじゃないか」

 

これは目からウロコの発見だった。

 

人は未だ感覚というものを直接共有する手段を持っていない。同じケーキを食べても感じている甘さの度合いは違うかもしれないし、同じ夕焼けを見ていてもお互い違った色に見えているかもしれない。

 

自分の感覚を取り出して直接共有することができない以上、感覚の共有には何か「人と人の間を取り持つもの」、すなわち「媒体(media)」が必要になる。
そして、この媒体として言葉を用いたものが「詩」なのではないだろうか。

 

ということは、逆に感覚伝達の媒体に言葉以外のものを用いることもできる。
媒体を「視覚情報」にすれば「抽象画」だし、媒体を「音」にすれば「叙情音楽」のようなものになる。詩の意味を見つけたことで芸術全体の見え方が変わってきたのを感じた。

 


もちろん詩の役割は他にもあるだろうし、これが詩の唯一のあり方とも思わないけれども、この「感覚の伝達」という機能はかなり重要なウエイトを占めているのではないか。

 

 

というわけで、友人の食レポをきっかけに、「詩とはなにか」について考える機会を得たのであった。

とりあえず詩を鑑賞する視点をやっと手に入れたので、今まで通り過ぎてきた数々の詩たちに再び会いに行きたいと思う。

花粉症の腹いせにスギの悪事を徹底的に暴くブログ

こんちには。フロクロです。

 

もう4月も半ばですが、未だにアレに苦しめられています。

そう。

 

スギ花粉症。

 

ポカポカ陽気になったかと思ったら途端に鼻水が止まらなくなり、目が真っ赤になり、夜はうなされ、膝関節を痛め、財布を落とす。もう散々である。
そもそも私は物心ついたときから花粉症であり、春になるとティッシュと共に幼稚園に登校していた。花粉症の無い人生はもう思い返すことも出来ないのだ。

 

 

 

許せない。私にはスギが許せない。

 

 

 

というか、そもそもなぜスギばかりなのか。

 

私の住む千葉は春になると至るところに菜の花が生えてくるが、「菜の花花粉症」など聞いたことがない。菜の花も花粉出すのに。
富良野の人はラベンダー花粉症になってもおかしくないし、オランダの人はみんなチューリップ花粉症でも変じゃない。が、そんなことはない。

 

ということは、何らかの理由でスギが人間に、他の植物とは違ったような嫌がらせをしているに違いない。

 

 

今日はスギがいかに攻撃的で極悪な植物であるかを白日の下に晒していきたいと思う。見てろ!

 

 

【この記事のアウトライン】

①数に物言わす生殖戦略【風媒花】

②植えられ見捨てられたスギたち【植林事業の遺産】

③スギが変わったのではない、人間が変わったのだ。【排気ガス寄生虫

 

 

①数に物言わす生殖戦略【風媒花】

 

まず、そもそも菜の花やチューリップはなぜ色鮮やかな花つけているのか。
それは、虫に花粉を運ぶのを手伝ってもらうため、彼らにアピールしているからだ。キレイな花をつけたり、いい匂いがしたり、蜜を出したりする植物の多くがこの方法で受粉を行っており、これらは「虫媒花」と呼ばれる。虫に蜜や花粉を与える代わりに受粉を手伝ってもらうWin-Winの関係を築いている、というワケだ。

 

一方、スギやヒノキ、イチョウ、マツなどはご存知の通りキレイな花もつけず蜜も出さない。では彼らはどのように花粉を運んでいるのか。
それは、

 

風。

 

ひたすら風に花粉を乗せ続けるのが彼らの生存戦略なのである。虫媒花は虫が花から花へ運んでくれるため花粉の量もセーブでるが、スギなどの「風媒花」は風という意思無き存在に花粉を任せるので、確実に受粉するためにとにかく大量の花粉を出さねばならない。なんとも非効率的!!!
さらに花粉も遠くまで飛びやすい構造になっているため、近所に杉林がなくとも花粉ははるばる飛んでくる始末。最悪や

 

この原始的で工夫の無いシステムが我々を苦しめているのである。いやぁ、許せん!!

 

 

 

いや、でも、そしたらイチョウやマツの花粉症をあまり聞かないのはなぜだ??彼らもキレイな花をつけない風媒花である。ならば花粉症の原因になってもおかしくはない。そうだろ?

 

 

これは多分、スギやヒノキの性格がことさらに悪いに違いない。

 

 

 

②植えられ見捨てられたスギたち【植林事業の遺産】

 

イチョウやマツの花粉症が無くてスギやヒノキの花粉症が多い理由は、至極単純、ずばりスギやヒノキの本数が多いから。じゃあなぜ多いのか。

 

戦後日本は、国土復興のため木材として利用しやすいスギやヒノキの植林を大規模に進めた。この戦後の拡大造林により国土の4分の1(!)が人工林になり、そのうち4割(!)が杉林になったというから驚きだ。
しかし、その後安価な外国産木材の流入により国内の林業はみるみる衰退。起伏の多い日本の林は機械化も難しく、林道の整備の遅れや高齢化も相まってせっかく植えた人工の杉林は切られないまま放置され現在に至っている……。
結果、その無責任に放置された杉林が毎年花粉を出し続け、人間共を苦しめているのだ。

 

 

 

ってアレ、これは人間が悪いやん…………

 

 

いやいや、でも杉林は植林の前からいくらでもある。なにせスギは日本の固有種なのだ。なのに、スギ花粉症が取り沙汰されたのは最近になってからで、花粉症患者第一号が報告されたのは1963年である。
なぜ、それまでもスギはあったのにスギ花粉症は存在しなかった、あるいは目立たなかったのだろうか

 

 

 

スギが突然人間に反旗を翻し、攻撃的になったんじゃないの??

 

 

 

③スギが変わったのではない、人間が変わったのだ。【排気ガス寄生虫

 

スギが多く生えているのは山奥など農村部、にもかかわらず、スギ花粉症の発症率が多いのはスギ林から距離のある都市部だ。全国的に見ても、スギの密度が高い紀伊半島・四国・九州よりも首都圏のほうが花粉症発症率が高い

 

この奇妙な現象はなぜ起きるのか。

 

その原因は「大気汚染」にある、という調査結果がある。ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子が花粉と結合することで花粉症の症状が助長されるというのだ。
実際、花粉症が初めて発見された栃木県の日光には500年前から杉林が存在し、春先には東照宮の廊下が花粉で黄色くなる(おそろしい)ほどであった。にもかかわらず、1960年より前から花粉症になっていた人はごく僅かで、ほとんどがそれ以後に発症している。この1960年代というのはディーゼル車の増加が始まった頃である。

実験結果もこれを示していて、マウスに花粉を注射しても花粉症を引き起こすIgE抗体は産出されなかったが、ディーゼル排ガスの粒子と一緒に注射するとIgEの産出量が明らかに高くなったというのだ。(マウスも気の毒である。)

 

 

更に、スギ花粉症の原因に衛生環境の変化も関係している。

 

戦後間もないころの日本では、多くの人が体内に寄生虫(特に回虫)を飼っていた。しかし戦後衛生環境の改。善や堆肥から農薬への転換などによって、それらの寄生虫は人間の体内にはほとんど居なくなり、なんとそれが花粉症を引き起こしたと言うのだ。このメカニズムはここで説明するにはやや複雑なので、最後に示す藤田紘一郎先生の『笑うカイチュウ』を参照頂きたい。

ざっくり言うと、現代人は花粉を吸い込むと"花粉に反応してアレルギーを起こす(花粉に特異的な)IgE抗体"を作り出すのだが、回虫が体内にいると花粉に反応しない(アレルギー反応を示さない)IgE抗体が産出され、逆に花粉を吸い込んでも花粉に特異的なIgE抗体は産出されなくなる、という仕組み。ややこいね。

 


ということで、結局のところ「花粉症」という現代病を引き起こした根本的な原因は、戦後の大規模な植林無責任な放置、そして経済成長に伴う人間の生活環境の急速な変化なのである!!!!!

 

 

 

…………

 

 

 

………これスギあんま悪くないじゃん………悪いの人間じゃん。

 

 

 


…………ごめんな。


ヘクチッ

 

 

【参考文献】


有岡 利幸 『杉〈1〉 (ものと人間の文化史) 』

杉の全てが分かる本。全2巻で、11章のうちの最後の章が花粉症に割り当てられている。

杉〈1〉 (ものと人間の文化史)

杉〈1〉 (ものと人間の文化史)

 

 

 

 

白井裕子『森林の崩壊』

日本の林業の負の歴史が詳細に書いてある本。②で参考。

森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書)

森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書)

 

 

 藤田紘一郎『笑うカイチュウ』

名著。寄生虫という今となっては馴染みの薄い生き物に関する驚きと新鮮に溢れた一冊。寄生虫を飼っていると花粉症にならない……!!

笑うカイチュウ (講談社文庫)

笑うカイチュウ (講談社文庫)

 

 

 

 

漫画村閉鎖!?代わりの読み放題サイト4選!!

こんにちは。フロクロです。

 

今日、無料で漫画が読めるサイト漫画村が閉鎖し、「サイトが見れない!」と話題になりました。
今まで漫画村で暇をつぶしてたのに……という人も多いと思います。

 

そこで、今回は漫画村終了後も使える無料で様々なコンテンツが読めるサイトを4つ紹介したいと思います!

 

※注意:海外のサイトを含みます。

 

 

1.OpenStax

openstax.org


米ライス大学が設立した、主に大学レベルの教科書を無料で提供しているサービス。物理学、経済学、心理学など様々な科目の教科書が用意されており、そして全てピア・レビュー(※査読。研究者同士で内容を検討すること。)済みなので内容も保証されています。それが全て無料!
ウェブ上での閲覧の他、PDFやkindle版もあり、印刷されたものもAmazonで格安で手に入ります。紙派にもうれしいですね。


英語で書かれた教科書は、日本語のものと比べて解説が丁寧で読みやすいものも多いです。空いた時間に好きな学問を深めてみるのも良いでしょう!

 

 

2.Google Scholar

https://scholar.google.co.jp


Googleが提供する、世界中の論文や学術誌が検索できるサービス。海外のものだけでなく日本語論文も検索できます。
学術論文は無料で閲覧できるものもあり、もし大学に所属している人なら大学からアクセスすれば有料資料も見放題、という場合もあります。

論文検索なら https://ci.nii.ac.jp など他にもいくつかサイトがあるので併せて活用すると良いでしょう。


暇つぶしに適当なワードを検索窓に突っ込んで、「いろんなこと究めてる人がいるんだな」と学問の深遠さに思いを馳せるのもよいのではないでしょうか。

 

使い方を短く解説してくれた記事がありました。Google Scholar、便利ですね。みんなで巨人の肩に乗って遠くを見わたしましょう!

卒論書くなら知っておきたい「Google Scholar」とその使い方 | NOW TO THE FUTURE

 


3.Stanford Encyclopedia of Philosophy(スタンフォード哲学百科事典)

Stanford Encyclopedia of Philosophy


無料で閲覧可能な哲学のオンライン百科事典です。
スタンフォード大学が運営しており、それぞれの記事は各分野の専門家により執筆されています。Wikipediaなどと違い、これらの記事も先ほど同様ピア・レビュー(査読)された上で掲載されているので安心です。


通常の百科事典と異なり、ウェブ上のものは紙面スペースの制約が無いため記事のボリュームも満点。飽くまで人類の積み重ねた思想たちと向き合えます!!

 

 

4.Biography.com

www.biography.com

 

歴史上の人物から現在活躍中の俳優まで、さまざまな人物の伝記を取り扱ったサイトです。

Wikipediaでは得られないようなストーリーや事績も載っているので、読み物としても面白いものになっています。最近の人だとドナルド・トランプマーク・ザッカーバーグエド・シーランなんかも載っていて、古いところだクレオパトラマリア様なんかの記事もあります!

 

通学などの暇な時間に気になった有名人の生涯を追体験してみるのも悪くないでしょう。

 

 

 


いかがでしたでしょうか!

英語のサイトが中心になってしまいましたが、それだけ英語圏には高品質で充実した無料のサイトが多いということです。

このように、漫画村が無くとも優良な”読み放題”サイトは数多く存在します。

是非色んなサイトを試してみて、教養を深めてください。

 

 

じゃあな!!!!!!

 

 

 

Principles of Economics (English Edition)

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Principles of Economics 2e

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  • 作者: Timothy Taylor,Steven A Greenlaw,David Shapiro
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アンビグラムの作り方 基礎編#1「アンビグラムを作ってみよう」

※この記事は去年の一連のツイート「アンビグラムをつくる」のこってり版です。忙しい方はツイートの方をご覧ください。

※18.10.28 大幅に加筆修正しました。

 

こんにちは。アンビグラム作家のフロクロです。

 

突然ですが皆さんはアンビグラムというものをご存知でしょうか。

まぁ「アンビグラム 作成 [検索]」とかでここにたどり着いた人はご存知かもしれませんが、一応説明しておくと、「回転させたり、鏡写しにするなどした2通りの方法で読むことができる文字アート」のことですね。

 

例えば拙作「バケツを引っくり返したような雨」は、「雨」という漢字をひっくり返すとカタカナの「バケツ」になります。読めますでしょうか。

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さて、この記事はアンビグラム」の作り方を解説したものです。 

アンビグラムは「なんか特殊なセンスのある人しか作れないんじゃないの」などと思われがちですが、実際は観察力と粘り強さがあれば、案外誰にでも作れちゃうものなのです。

というわけで、以下で私がアンビグラムをどんなふうに作ってるかを紹介していこうと思います。

 

完成までの主な手順

【Step0】アンビグラムの種類を知る
【Step1】単語を探す
【Step2】対応付け

 

(私の他の作品はpixivに置いてあります。ぜひ。)

 

【Step0】アンビグラムの種類を知る

 

アンビグラムを作る前に、まずアンビグラムにどんな種類があるのかを知っておくことが重要です。アンビグラムはひっくり返すだけではありません。90度回転、鏡写し、図地反転etc……

 

この記事でアンビグラムの種類をすべて紹介すると長くなってしまうため、こちらの記事にまとめました。

2969.hatenablog.com

アンビグラムについてまだ良く知らない方は、ぜひこちらからお読みください。アンビグラムの名作と合わせてその手法を紹介しています。

 

さて、アンビグラムの種類を知ることがなぜ重要かというと、それは一つの単語に対して様々な見方ができるようになり、アンビグラムが完成する確率が上がるからにほかなりません。

 

例えば、「虹色」という熟語は180度回転では作りづらいですが、「虹」を90度倒して「色」にする、というタイプで作るとピタッとハマります(下図)。

 

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いろいろな手法を知っておくことで、一つの言葉にも様々な可能性が見えてくるのです。
アンビグラムの種類が一通りわかったら、いよいよ制作スタートです。


【Step1】単語を探す

アンビグラム制作で行う最初の工程はズバリ「素材となる単語を探す」です。

 

「この単語はひっくり返したらうまくいきそうだな」「これ鏡写しでアンビグラムにできないかなぁ」と、先ほどの「アンビグラムの種類」を意識しつつアンテナを張りめぐらせて言葉を観察しまくるのです。

 

しかし、いきなり「言葉を観察しろ」なんて言われても難しい。
そこで、一体どんな言葉が「アンビグラムの素質がある単語」なのかを見ていきたいと思います。

 

アンビグラムの素質

以下からはわかりやすくするため、180度回しても同じ文字列になる点対称アンビグラムに話を絞って進めていきます。


単語にはアンビグラムの素質」があるものとないものがあります。素質が抜群に備わっている単語は楽にアンビグラムが作れて、逆に素質のあまりない単語は作るのがめちゃくちゃ大変になります。

 

素質のある単語の代表例が「道具」です。横書きだと分かりづらいですが、縦書きにしてちょっといじくると……



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ホラ!!!もうこれアンビグラムでしょ!!

このようにもとの単語を殆ど崩さずに成立するアンビグラムは「発見的作品」とか「自然アンビグラム」とか呼ばれます。が、流石にここまで素質ある単語はそれほど多くありません。

 

素質のあるなしは字の「密度」と関係します。

例えば「一」をひっくり返すと「鬱」になるアンビグラム作ろうと思ったら、これは字画の密度の差がありすぎて大変ですね。無理ですね。

 

一方で「予」をひっくり返すと「告」、「昭」をひっくり返すと「和」、とかなら二文字の密度が近く、文字の構造もちょっと似てるので比較的アンビグラムにしやすそうです。
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実際に作ってみるとこんな感じです。

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 ↑『予告』 180度点対称

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↑『昭和』 180度点対称

 

どれが「アンビグラムの素質」がある単語なのかは、いろんな作品を見たり、手元で実際に文字をいじっているとだんだん掴めると思います。


【Step2】対応付け


単語を決めたら、実際にアンビグラムを形にしていく作業です。「道具」のようにほとんどいじる必要が無い場合は別ですが、大抵のばあい文字と文字が同じ形になるよう整える作業が必要です。私はこの作業を「対応付け」と呼んでいます。
ここでは具体例を交えて対応付けのやり方を見ていきましょう。

 

【例1 『アイスクリーム』】

1.とりあえず書く

まずはカタカナの作例。「アイスクリーム」の180度点対称を作ってみましょう。


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とりあえず紙に「アイスクリーム」の文字を書いてみます。紙をぐるぐる回しながら逆さ文字を並べて書いてみて、見比べましょう(ヨコ書きとタテ書きどちらも試すのが大事)。

 

2.似てるところを探す

逆さ文字と通常文字で似てる部分が無いか探します。すると、オッ、タテ書きのときに「ア」と「ーム」がピタッとハマりそうじゃないか!!
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3.余りを抜き出して見比べる

「ア……ーム」が済んだので残りの「イスクリ」を抜き出して、また見比べてみます。

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これはもう1文字ずつ対応付けしてけば良さそうですね。紙を回しながらたくさん書きまくって、適当に中間を探りましょう。

 

4.清書
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最後の作業。手書きなりパソコンなりで対応付けができたアンビグラムを清書します。フリーソフトinkscapeとかAdobeイラレとかを使うといいと思います、が、ここはタイポグラフィの領域なのでここでは省き、別の機会に譲りたいと思います。

 

もう1つ、今度は漢字の作例を見ましょう。

 

【例2 お題:「妖怪」】

今度は単語とアンビグラムの形式を決めるところからやりましょう。前にTwitterでお題を募集したときに「妖怪」というものを頂いたので、今回は妖怪の名前で作ってみたいと思います。

 

1.たくさんの単語を観察して、題材を探す

アンビグラムを作るにはまず素材となる単語が必要なので、探しに行きましょう。

今回はテーマが「妖怪」なので、Wikipediaの妖怪一覧から探そうと思います。

日本の妖怪一覧 - Wikipedia

このページ、なんかやたら詳しいな……

この中から字の密度が近い(かつ自分が知っている)妖怪を探します。

猫娘」「般若」「貧乏神」「物の怪」あたりは字ごとの密度/ひっくり返したときの密度が近そうです。

紙で軽く書いてみた結果、「猫娘」や「物の怪」はキツそうなので「般若」で頑張ってみることにします。

 

2.とりあえず書く

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アンビグラムは常に手元の紙に書くところからスタートします。

とりあえず180度回転と90度回転で般若を書いてみました。

すると、オッ、なんか90度回転のときので囲った部分が何となく似てませんか?

似てないって?似てなくても、歩み寄れば和解できそう、くらいの近しさを感じはしないでしょうか。というわけで今回は「般若」で90度回転アンビグラムを作っていくことにします。

 

3.共通した字画を探して、寄せる

 

ここからはお待ちかね、対応付けの作業です。今回はやや険しい戦いを強いられそうな予感がします。

まぁとりあえず白い紙を用意して書いてみましょう。

漢字でアンビグラムを作るときは、私はまず題材の漢字をくずし字で書いてみることにしています。何故かというと、文字を崩して書いてみることで「どの字画が含まれていれば”その字”と認識できるのか」、すなわち「文字の限界」を探ることができるからです。これについては次回くわしく書きます。

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「般」と、90度倒して「若」をくずし字で書いてみました。汚いですが、「般」も「若」もギリギリ読めます。これを参考にしながら、2文字の間を取っていきましょう。

ここからはひたすら根性。2つの文字がバランスよく成立するポイントを模索しまくります。

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アイスクリーム同様紙を回しながら、妥協点を探ります(下に行くほど後に書いたもの)。すると、最終的にはそこそこ「般」と「若」が同居してそうな字画が現れました。

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同じ画像を90度回すとこんな感じ。葛藤の歴史です。

もうひと押しブラッシュアップして完成を目指しましょう。

をつけたものをもう一度書き直してみます。

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読める読める。

いい感じですね。ちなみにこのときにテクニックとして、「般」と「若」に共通する字画(線)は太く、余ってる字画はひかえめに描いています。これについても次回くわしく書きます。

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4.清書

最後にイラレに上の写真を取り込んみ、清書して完成。

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『般若』90度回転。

読めますかね。わりと読めそうですね。良かった~。

これを更に骨組みとしてタイポグラフィ的な装飾を加えるとこんな感じです。

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この最後の装飾の工程については、やはりアンビグラムとは別の話になるので別の機会に話します。

 

――――――――――――

 

さて、以上がアンビグラム制作のざっくりとした流れでしたが、いかがでしょうか。アンビグラムというのが「直感が天から降りてきて閃く」ようなものではなく、地道な作業の集まりによって完成するものだということがお分かりいただけたでしょうか。

 

最後に、これを読んで「さっそくなんか作ってみたい!」と思った方にひとつ宿題を出したいと思います。

「雑誌」で180°回転アンビグラムを作ってみてください。対応付けの練習です!

 

(完成したものはぜひ、Twitterハッシュタグ「#アンビグラム講座」をつけて投稿してください。)

 

今回はこれまで。次回は対応付けについて詳しくお話します。